素敵屋開店のきっかけは、母の左足「人工骨置換手術」だった。
それまで「杖」とは無縁。知識も全く持ち合わせていなかった。
手術翌日から歩行器での歩行訓練。退院時はリハビリのおかげで4点杖で歩けるまで回復した。
その後入手した「杖」はアルミ窓枠を杖にしたような味気ないもの。
手術により膝痛からは開放されたが、膝に大きなメスの後を残した精神的痛みが残される。
それに「杖」を持つ=老人のシンボル的イメージを受け入れるのは容易ではなかったようだ。
私が「ステッキ屋」をはじめて勉強させられたのが、「杖」を必要とされているのは加齢者だけで無いという現実だった。
素敵屋をご利用頂く方の多くは、私のように「母」への贈り物としてのご注文が一番だが、それと同じくらい、若年層のご利用が多い。
先天性の骨の病・硬化症・リューマチ・パーキンソン病etc…
その方々からのメールには「お年寄りの持つようなステッキばかりしかなくて…」の声が。
日本のステッキ市場が老人中心であることに改めて気づかされた。
本日もブログめぐりをしていて、偶然素敵屋を紹介しているブログと遭遇した。
外見からは年齢も若いし病気だとわからないパーキンソン病、電車の中で座れずふらふらしていたり、人ごみの流れにのれない時など杖をもっていると、周りの人もこの人どこか悪いのね、と理解してくれたり、シルバーシートに座っていても肩身の狭い思いをしなくてもよいとか、そんな効用のために持っているようなものなんですけど…。
まだ症状が軽いからこんなことも言っていられるのだと思いますが、同じ持って歩くなら少しでも明るく楽しくなるようなものを持って歩きたいと思い探してみました。
先日ブログでご紹介した「マタニティサイン」ではないが、ステッキが優先席の利用サインとなるのだろう。
もっと利用者の目線で商品を提供していかなくてはならないと考えさせられる。
杖=老人でもなく、ステッキ=介護用品でもない。
歩行サポートのファッションアイテムであって欲しい。