杖の正しい使い方とは?
持ち方から、歩き方を学んで安心して歩きましょう!

杖の正しい使い方とは?
持ち方から、歩き方を学んで安心して歩きましょう!


杖は、筋力が落ちて歩行が難しくなった高齢者の方や、足が不自由な方にとっての自力で歩ける喜びや楽しさを取り戻すために最適な道具です。歩ける喜び、外出できる楽しさを実感するためにも、杖は正しい使い方で使用することが大切。また、股関節や膝関節の痛みでお悩みの方も、正しく杖を使うことで関節にかかる負担を減らし、更なる炎症を抑える予防効果が期待できます。
そこで今回は、杖の基本的な使い方から、階段などの段差がある場合の使い方などをご紹介します。正しい使い方を学んで、安心して外出を楽しみましょう。

正しい杖の使い方 ~準備編~

杖を正しく使うには、自分に合った杖を準備することが必要です。杖は3本目の足のようなもの。ご自身に最適の長さの杖であるか、握りやすいか、重すぎないかなど、無理をせずに使える杖を準備しましょう。特に長さは重要です。専門家に相談の上、ご用意することをお勧めします。また、靴は転倒しにくいようつま先が上がっていて軽く、着脱のしやすいものがおすすめです、最近はデザイン性の高いものもあります。お気に入りのデザインのもので、足にフットする履きやすい一足を見つけてください。

正しい杖の使い方 ~基本編① 握る手の決め方~

初めて杖を使う方がまず最初に疑問に思うのが、杖を持つ手は右?左?どっち?ということ。日常生活の延長で、なんとなく利き手で持っている方も多いのではないでしょうか?実は、杖は利き手ではなく、傷みがない側の手で持つのが基本です。右側の足や腰が痛い場合は「左手」、左側の足や腰が痛い場合は「右手」で持ちましょう。
これは、杖を持った側に体重が分散されるため。痛みがある側にかかる負担を減らすことができるので、傷みを感じにくくなります。間違えてしまうと、痛みがさらに増してしまうこともあるので、気を付けましょう。

正しい杖の使い方 ~基本編② 正しいグリップの握り方~

次に、正しいグリップの握り方です。杖の握り方は2種類。歩くペースや、握りやすさに合わせて選んでください。いずれも、シャフトの中心にしっかりと重心がかかるように握るのがポイントですよ。

まず、一つ目の握り方をご紹介します。握り手の人差し指をシャフトに沿えて、残りの指でグリップを握る方法です。体重を杖にかけやすくなるので、一歩一歩ゆっくり歩く方におすすめの握り方です。

 

次に、二つ目の握り方をご紹介しましょう。人差し指と中指でシャフトを挟み込むように握る方法です。一つ目の握り方より、杖に体重をかけづらくなりますが、通常歩行に近い歩き方ができます。

 

また、グリップの一部だけ握るのは不安定になり大変危険です。しっかり握るようにしましょう。なお、杖についているストラップは、歩行時に手をかけないでください。万が一、転倒した際にとっさに手を付けなくなる可能性があります。

 

杖を置く位置は、つま先から縦・横15㎝程度がベストです。遠すぎると体が前傾し、近すぎるとバランスがとりにくくなりますので、注意しましょう。

正しい杖の使い方 ~基本編③ 正しい歩行の仕方「3動作歩行」~

杖の使い方は、初心者の方でも簡単な通常歩行に近い「3動作歩行」と、「3動作歩行」が難しい方向けの「2動作歩行」の2種類があります。
まずは、「3動作歩行」からご紹介しましょう。

痛みのない側の手で杖を握ります。
杖を前に出します。
次に痛い側の足を前に出します。
反対の足を前に出します。

①~④ を繰り返しながら前に進みます。常に、杖か足の2点で支えられるので安心して歩くことができます。

正しい杖の使い方 ~基本編④ 正しい歩行の仕方「2動作歩行」~

「3動作歩行」では、スピードが出ないと感じた場合は、「2動作歩行」を試してみてください。

痛みのない側の手で杖を握ります。
杖と痛みのある側の足を同時に前に出します。
反対側の足を、痛みのない側の足と杖に揃えます。

①~③ を繰り返しながら前に進みます。「3動作歩行」より、動作も少なくスピードが出ますが、バランスが必要となりますため、無理をしないように注意しましょう。

正しい杖の使い方 ~応用編 階段の昇り降りの仕方~

階段や段差のある場所を昇り降りする場合、昇りと降りでは、足を出す順番が異なるので注意しましょう。

階段を昇る場合

一段上の階段に杖を置きます。
杖と同じ側の足を階段に乗せます。歩くときと逆になりますので注意してください。
反対側の足を階段に乗せます。
※痛みのない側の足の力を使って、体を引き上げるイメージです。

階段を降る場合

一段下の階段に杖を降ろします。
杖と反対側の足を一段下の階段に降ろします。
杖と同じ側の足を一段下の階段におろします。
※痛みのない側の足でバランスをとるイメージです。

階段は、バランスを崩しやすいので一段づつ足を揃えて進むようにしましょう。また、手すりがついている階段の場合は、無理に杖を使用せず、手すりを使う方が安全です。

正しく杖を使って、アクティブな人生を!

正しく杖を使うことができれば、股関節や膝の痛みでなかなか外出できない方や、筋力やバランス能力が落ちて足元がおぼつかない方、足首などの怪我で歩行が難しくなってしまった方でも、体の負担を抑えて外出することができます。

ただ、杖の使い方を意識しすぎると体の動きがぎくしゃくして、かえって歩きずらく感じてしまうことがあるかもしれません。まずは、傘をつくイメージで、一歩一歩進んできましょう。正しい歩き方を意識しすぎていた時と異なり、ぐらぐらすることもなくスムーズに前に進めるようになりますよ。

ただし、階段などの段差がある場所は、使い方を間違えてしまうと、転倒や怪我のもとになってしまうこともあります。杖を始めてお使いになる場合は、ご自宅の階段など、ゆっくりと一段ずつ昇り降りできる場所で少しづつ練習してみてはいかがでしょうか。慣れてくれば、ぐんと行動範囲も広がります。焦ることなく正しい杖の使い方をしっかりと覚えて、よりアクティブな日々を楽しみましょう!

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