ぴったりな杖の選び方をご紹介します!
怪我や加齢などによって、立つことがままならなくなったり、歩くことが困難になることがあります。
そんな時でも杖があれば、立ちやすく、歩きやすくなり、お出かけも楽になります。
ただ、杖には様々な種類があるため、どんな杖を選べばいいかわからないというお声も多く聞かれます。
そこで、今回はいくつかある杖の種類の中でも「一本杖」と呼ばれる杖の種類やその特徴、適正な長さについて詳しく解説し、正しい選び方をご紹介します。
一本杖ってどんな杖?
一本杖は「単脚杖」とも呼ばれ、杖の中でも最もスタンダードな形の杖です。屋内・屋外共に使用が可能で、まっすぐな杖(シャフト)に握り手がついているシンプルな構造が特徴。どなたでも扱いやすく、はじめてつかわれる方でも安心です。
軽量なアルミから重厚な木材など様々な素材で作られており、デザイン・カラーも豊富です。また、握り手の部分はスタンダードなステッキ型から体重のかけやすいT字型などがあります。以前はシンプルな色・形のものだけでしたが、最近は杖本体や、握り手に美しい細工が施されたものなどが増えて多種多様です。お使いになる方のご年齢やお好み、ライフスタイルに合わせてお選びいただけるようになりました。
なお、一本杖は自立歩行ができる方のサポートとしてお使いいただくものなので、歩行バランスがある程度とれていて、腕の力がある程度ある方向けの杖です。杖にかけられる重さは1/6といわれていますので、杖がないと歩行ができない人や、体重の一部を預けないと歩けないリハビリ中の方などの使用には適していません。また、一本杖は介護保険の福祉用具レンタルの対象種目対象外となり、自費購入となります。
一本杖には3つの種類があり、長さが固定杖、折りたたみ杖、伸縮杖があります。それぞれの特徴をみていきましょう。
長さ固定杖とは?
お使いいただく方に合わせてシャフトを切断して使用する杖です。シンプルな構造で軽量なので、どなたでも取扱しやすいのが特徴です。
杖が手放せない方向きの杖といえるでしょう。重心が上にあるものを選ぶと、重さを感じにくいのでさらに使いやすく感じることができます。
折りたたみ杖とは?
シャフト部分が分割されていて、簡単に折り畳むことができる杖です。ご旅行や外出時の一時的な補助におすすめです。ねじ式とゴム式がありますが、現在の流通しているもののほとんどはゴム式です。ゴム式は、分割されたシャフトの中心にゴムが入っており、使用時に取り出すだけで簡単に連結ができ、折りたたみ時もバラバラになることはありません。また、杖の長さ調節ができるものが主流です。
長さ固定杖と比べると、部品が増える分重さがあります。また、折りたたむ際や長さ調節をする際に両手を使う必要があるので、握力が弱い方や手が不自由な方には補助が必要です。
伸縮杖とは?
シャフトが2分割されていて、長さを自在に変えられる杖です。ボタンをシャフト上の穴に引っ掛けて長さ調節をするラチェット式の杖、操作の簡単な自由自在杖がありますが、今はラチェット式が主流です。ラチェット式は、シャフトに調整穴が開いており、下のシャフトについているボタンを押し込みながらお好みの長さの穴にボタンをかけます。折りたたみ杖より伸縮する幅が広いのが特徴です。
伸縮杖は、折りたたみ杖より調整用の金具が下にあるので重心が下がるため、少し重く感じることがあります
これで安心!あなたの杖の長さの決め方
では、自分にぴったりの杖の長さを知るにはどうしたらよいのでしょうか?実は、杖の種類によって適切な長さが異なります。それぞれの杖に合わせた長さの選び方をご紹介しましょう。
〇伸縮杖・長さ調節杖・一本杖
一般的に「身長÷2+3cm」が杖の長さの基準になるといわれています。下の早見表を参考にして、長さを確認してみましょう。主に外出の際に杖を使われる方は「靴を履いた際の身長」で計算しましょう。履きなれた靴を履いてから、身長を測ってくださいね。
⑥身長とステッキの長さの早見表
また、よく使われる長さの決め方として、「大転子」から床までの長さで測る方法もあります。
腰の高さも人それぞれなので、この測り方が一番適切な場合が多いです。
長さを決める際の注意点としては、
・ヒールが高めの靴を履くことが多い方は、長さを調整できる杖が適切な場合も。
・腰が曲がっている方は、短くすると、どんどん腰が前にかがんでしまうようなル恐れがある
等があります。
おおよその長さがわかったら、杖の先を同側の足先の前方20cm前におき、肘は30〜40度屈曲した位置の状態になっているか確認しましょう。この状態を保てる長さが、あなたにぴったりの長さになります。
なお、腰が曲がっている方は、手首の高さや腰の高さであわせると杖が長すぎる場合がありますので、下記の方法で丁度いい長さを見つけましょう。
①無理な伸ばせる範囲で軽く背を伸ばします
②腕を下げて、肘を曲げやすいところまで曲げましょう
③このときの手から地面までの長さが丁度よい杖の長さの基準になります
基準の長さが決まったら、ご本人が使いやすく疲れにくいと感じるまで微調整を繰り返します。
※歩行困難がある方は、理学療法士などの専門家に丁度よい長さを探してもらうことをおすすめします。
〇クラッチ杖・多点杖
持ち手が腰の位置にくる位が適度な長さの目安です。一般的な杖の長さと異なるので注意しましょう
す。それぞれの特徴をみていきましょう。
〇重さ
おおよそ、200g~500gで選ぶのがオススメです。
軽い杖を好まれる方も多くいらっしゃいますが、軽すぎると安定感に欠け、使いづらく感じることも多くあります。ある程度の重さがないと、安定感がなく、杖をつきづらくなってしまうので、注意が必要です。
ご自身に合った杖選びを
今回は「一本杖」と呼ばれる杖の種類やその特徴、適正な長さについてご紹介しました。杖は第三の足として、日々の歩行を支える大切な道具。上手に使いこなすことによって、行動範囲も広がり、日常生活の向上にも役立つものです。
毎日使う杖だからこそ、体に合った長さや握り手の握りやすさなどはもちろん、ご自身のライフスタイルやお好みの色や形なども考慮して、妥協せずに選ぶようにしましょう。これだ!という一本に出会えれば、お出かけも苦にならず、毎日が楽しくなりますよ。