開業20年を迎えて

素敵屋Alookがステッキ専門店として開業したのは2005年2月、ウエブ公開から始まりました。


今から20年前、私の母が人工股関節置換術後の歩行不安からステッキを探したのがきっかけとなりました。
当時ステッキの専門店は殆ど無く、ネット環境もダイヤルアップの時代。今では考えられないくらい画像一枚表示させるのにえらく時間が掛かかりました。
パソコンの画面の前で寝入ってしまう程、ネット上でステッキを探すのが大変な時代でした。

その頃の日本はステッキと言えば何の変哲も無い木製のステッキか、窓のサッシに使われているようなアンバー色のアルミのステッキしか流通していませんでした。
そのような中で衝撃を受けたのは、ただの木製ステッキにモールやリボンでデコレーションしている画像でした。
それを目にした時「きっと日本もステッキを飾る時代が来るに違いない」と確信しました。

そして出会ったのが「Penny Rose」ポリカーボネートのパイプの中に花やリボンで装飾したステッキでした。
早速その杖を取寄せてみましたが、実物は少しガッカリする仕様でした。
デコレーションされていた花やレースはどれもが今一つ貧相。
それでも日本で「Penny Rose」を販売したいとお願いしたところ、快く受けて頂き、「中身の装飾を競い合いましょう!」と言って頂き杖の販売の足掛かりができました。

WEB上の商品を増やすため、同業他社が扱ってない他の商品も探しました。とは言ってもその当時WEB上には3店舗位しかステッキの専門店はありませんでしたが。

そこで見つけたのがアメリカの「Style-Stick」
こちらはU字型のアクリルパイプに花を飾ったステッキで、「Penny Rose」とは違った華奢で可憐なステッキでした。

またアメリカのイラストレーターが木製ステッキにデコパージュしていた「DJ Mac」も扱わせて頂きました。

イギリスからは「Classic Cane」社との取引も始めることができました。

「Penny Rose」を扱い始めてしばらくすると、オーナーのPennyさんがご病気で廃業されることになりました。
メインにしていた商品が手に入らなくなったので、日本での生産を考えました。
そんな時に力を貸して下さったのが大田区の「睦加工」さんでした。
一から型起こし、成型とご尽力して頂き、現在の「グラスローズ」が生まれました。

「DJ Mac」のデブラが廃業、「Style-Stick」のデザイナーキャシーが急逝し、昨年「睦加工」さんも廃業されたと今年知りました。
そして42年続いた「Classic Cane」さんも今月をもって廃業とのことです。

「新興企業の多くは3周年を迎えることさえありません。ですから、42年以上も続くこと自体が大きな成果と言えるでしょう。」クラッシクケインのシャーロットの言葉です。
心より労いたいと思います。20年間ありがとうございました。

私がステッキの専門店を始めてから20年。路面店、百貨店などの売場は縮小されるばかりですが、ネット上はありとあらゆる杖の販売店舗が溢れています。
卸売業者から仕入れた商品を販売するだけでは、価格や会社の規模などで太刀打ちできない状態です。

こんな小さなステッキの専門店ですが、20年続けてこられたのは他にはない、オリジナル商品があったからと思っています。
また、当店のご購入者様がお持ち歩きくださり、歩く広告塔になって頂いていることに感謝しかありません。

ステッキ輸入元やステッキの装飾品の仕入れ先、加工先など、素敵屋が今現在の形になるまで関わった頂いた多くの方々とのお別れや、長年お世話になった「Classic Cane」の廃業を耳にし、思うことを綴らせて頂きました。
継続は力なり!これからは当店のオリジナル商品の開発に今以上に力を入れて、今暫く頑張っていきたいと思っています。

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