昨日の新聞に面白いコラムが載っていた。
「心の中で時止まる」と題され、新しいものが入ってこない自分を語っている。
日常生活ではプッシュホンと携帯しか使っていないのに、夢のなかではダイヤル式の電話しか出てこない。彼の深層意識の中では、電話はダイヤル式のまま止まっているということらしい。そして、心の中で「止まっている」ものを拾って行ったら、プロ野球の球団名は大洋ホエールズ・南海ホークス止まり。横綱は北の湖まで。総理大臣は田中角栄まで。ジャニーズは江木俊夫まで。珈琲はカフェオレまで。切符は硬くてパチンパチンとはさみをいれてもらうものまで・・・オリックスブルーウェーブとかコイズミとかキムタクとかエスプレッソとかパスネットとか・・・それ以降のものは、存在を知っていたり、実際に使ってはいても、彼の中に「入ってこない」と言うのだ。
かなり肯きながら自分と重ね合わせてみた。
私の中でも、音楽を聴くとしたらレコードであって、決してiPodは有り得ないし、電車の定期は改札口で駅員さんに見せるもので、機械に読み取らせるものではない。
ふと辺りを見回すと、ダイヤル式の電話も硬い切符も見当たらない。「入ってきた」ものたちの多くが既にこの世から消えてしまって、「入ってこない」ものに囲まれて生きていることに、消えかかっているのは自分の方ではないだろうか・・・と、彼は気付いたという。
そうか~。私も消えかかっているのか・・・などと考えさせられたコラムだった。