
「最近、階段の上り下りが少し怖い」「親が歩くときにふらつくようになった」 そんな時、頭をよぎるのが「杖」の存在です。
しかし、多くの方が「杖を持つと急に老け込んだ気がする」「まだ自分には早い」と、使い始めるタイミングに迷われています。
実は、杖の専門店として多くのお客様を見てきた私たちが考えるベストなタイミングは、「まだいらないかな」と思っている、まさに「今」なのです。
この記事では、なぜ「まだ早い」時期がおすすめなのか、傘を杖代わりにする危険性や、実際に使い始めた方の驚きの変化について、専門家の視点から解説します。
1. 杖はいつから?正解は「歩くのが少し不安」になったら
「足が痛くて歩けない」状態になってからが杖の出番だと思っていませんか? 実は、それは少し遅いかもしれません。
私たちがおすすめする「杖を使い始めるタイミング」は、以下のサインが出た時です。
- 何も持たずに歩くとき、無意識にガードレールや壁を探してしまう
- 人混みでぶつかられそうで怖いと感じる
- 雨の日や夕方、足元が見えにくいと歩くスピードが極端に落ちる
- 「もっと歩きたい」という気持ちより「疲れるからやめよう」が勝つ
これらは、身体が「支え」を求めているサインです。
素敵屋Alook店主の実感|「まだ早い」が一番いいタイミング
実は、杖は「転ばぬ先の杖」という言葉通り、転んで怪我をする前に持つことが最も重要です。 足腰が弱ってからではなく、元気なうちに使い始めることで、「良い姿勢」をキープし、活動範囲を狭めずに済むからです。
2. 絶対にやめて!「傘」を杖代わりにするのが危険な理由
「杖はまだ恥ずかしいから」と、雨傘を杖のように突いて歩いている方を見かけますが、これは専門店として強く警鐘を鳴らしたい危険な行為です。
- 体重を支える設計ではない
傘は雨を避けるためのもので、体重をかけるとシャフト(柄)が曲がったり折れたりする可能性があります。もし歩行中に折れたら、大怪我につながります。
- 石突(先端)が滑る
杖の先ゴムは滑り止め加工がされていますが、傘の石突(先端)はプラスチックや金属で、濡れた路面では非常に滑りやすく危険です。
- 長さが合っていない
自分に合わない長さのものを突くと、姿勢が崩れ、かえって肩や腰を痛める原因になります。
「とりあえず傘で」は、今日で卒業しましょう。
3. 「杖を使うと足が弱る」は誤解です!意外なメリット
「杖に頼ると、自分の足で歩かなくなるから筋力が落ちるのでは?」 このような心配をされる方がいますが、実際は逆です。
- 正しい姿勢で歩ける ふらつきを恐れて前かがみ(猫背)で歩くよりも、杖でバランスを取って背筋を伸ばして歩くほうが、全身の筋肉を正しく使えます。
- 歩行距離が伸びる 「疲れるから」と外出を控えていた方が、杖を持つことで楽に歩けるようになり、結果的に活動量が増え、足腰の健康維持につながります。
お客様のエピソード 私の母もそうでしたが、最初は「杖なんて持ちたくない」と言っていました。しかし、家族に勧められてしぶしぶ持ってみると「こんなに楽になるのか!」とびっくり。 「持ったら背筋が伸びて気持ちいい」と、今では手放せないパートナーになっています。
4. 杖を持つ前に知っておきたい「生活スタイルの変化」
杖を持つと、片手がふさがることになります。これまで両手に荷物を持っていた方は、少し工夫が必要です。
- バッグは「リュック」か「ショルダー」に
両手を空けるために、カバンを斜めがけにするのがおすすめです。
- 買い物は「キャリーカート」を活用
重い荷物は持たず、横で引くタイプのカート(ショッピングカート)を併用すると、買い物がぐっと楽になります。
こうした準備をしておくことで、杖のある生活へスムーズに移行できます。
5. 自分から買う人は稀?「プレゼント」というきっかけ
実は、当店にいらっしゃるお客様の多くは、ご自分から「欲しい」と言って来られるわけではありません。 「家族に心配されたから」「息子・娘に連れられて」という方がほとんどです。
ご本人にとって、杖を持つことは「老い」を認めるようで抵抗があるものです。 だからこそ、ご家族から「安全のために持ってほしい」「おしゃれなアイテムとして使ってみて」とプレゼントすることが、最初の一歩としてとても有効です。

まとめ:杖は「歩行補助具」ではなく「お出かけのパートナー」
杖を使い始めるタイミングに「早すぎる」ことはありません。 むしろ、ふらつきや不安を我慢して歩くことのほうが、転倒のリスクを高め、お出かけの楽しさを奪ってしまいます。
「まだいらないかな?」と思っている今こそ、一度お店で本物の杖に触れてみませんか? 傘とは違う安定感と、背筋が伸びる心地よさを体験すれば、きっと「もっと早く持てばよかった」と思っていただけるはずです。

