明日の自分のためにできること

「私は三年間老人だった 明日の自分のためにできること」 パット・ムーア著
ユニバーサルデザインの出発点となったドキュメントだ。

ニューヨークに住む26歳の女性が、ある日、変装して85歳になってみようと思い立った。老人を経験するためである。当時、彼女デザイン事務所に就職したばかり。そこは若いデザイナーの憧れの職場だったが、この世界最先端の仕事場にいて彼女にはある違和感があった。
スマートなスタイルの道具や乗り物は素晴らしいが、それらはほとんどが「ダーウィン的デザイン」、つまり適者生存の法則の勝利者である健康で頑丈な消費者を想定したものだ。
老人の暮らしを忙しい若い人たちは知ろうとしない。彼らは悪意があるというより、やがて自分たちがなる老人のことを知らなさすぎるのだ。
彼女は老人に変装してみて、老人にも快適に暮らせる環境は単にデザインだけの問題ではない、ということをいやというほど思い知らされた。老人問題の多くは若い人たちが態度や見方を変えてくれればかなり解決できる。
「いま老人に暖かい社会をつくっておけば、やがてその恩恵を受けるのはあなたたちなのに」というのが彼女のメッセージだ。

サブタイトルの通り、「明日の自分のためにできること」。誰もが迎える自身の老後を思い描くことが出来れば、今できることが解ってくるのでは・・・

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